「あっ、春の匂い…」路地裏からふわっとした色香が漂うよう。見上げると、白梅がちらほら。寒空を背景に凛とした表情を浮かべている。
梅の花言葉は、「厳しい美しさ」。桜とは違う、孤高の美には、いかにも寒空が似合う。
「この頃梅に惹かれるの」と目を細めながら言う私に、母が小さく笑った。
「貴女も大人になったのかもね」。
確かに、年を重ねて、花の嗜好が変ってきた。幼い時の私は、チューリップと三色すみれが大好きで、満開の花壇を前にただ座っているだけで満悦だった。そして華やぐ青春時代、ボーイフレンドからあでやかな真紅のバラの花束が届けば、心が躍り、バラが似合う女になりたいと思ったし、仕事に邁進している時期は野辺に咲くコスモスのしたたかな美しさを手本にしようと頑張って来た。花の持つそれぞれの美意識がその時の私の心そのものだったのだろう。
梅の花は、清楚でそれでいて力強い。荒廃した現代社会に高邁な信念を貫こうとする人の生き方を見る気がする。
さて、梅といえば、「松竹梅」と三種セットで使われるが、一体どうしてこの取り合わせができたのだろう?
もともと松、竹、梅は中国では、慶事などの景物に使われ、「歳寒三友」と言われていた。松と竹は冬の寒気に耐えて緑を保ち、梅は、寒さの中、百花に先駆けて花を咲かせることから名づけられ、日本に伝来したと聞く。
また「三友」とは友にふさわしい三大条件のことを言うらしい。松は、たとえ厳冬でも葉を落とさず、どんな断崖でも根を張るところから、忍耐強く、真心を尽くす人を指す。一方、竹は、隠し立てのない正直でまっすぐな気性の人のことを言い、梅は、寒さに負けずに花をつけるところから、どんな厳しい条件下でも、笑顔を絶やさず物怖じしない人のことを意味する。
「三友」こそ、険しい冬の時代に突入した現代日本に求められるリーダー像ではないだろうか?だけど、今の政界には松竹梅がいない。ふと暗鬱な心になる。いやはや、日本の将来はどうなるか…。なんて考えても埒が明かない。今夜は、お風呂上りに梅酒でいっぱい、気分をリフレッシュしてみるしかないな。


by magicalspeed
素人 ニッポン!