友人にパソコンに精通したデザイナーがいる。彼女はネットが普及したと同時に、誰よりも早くネットメディアの便利さと楽しさを説いて回ってきた。いわば、ネット界の先駆者とも言える。ところが先日、彼女の口から思いもかけない言葉が出た。
「私、当分の間、ネットから離れようと思うの」。「ええ?な、なんと言った?」思わず耳を疑った私。家で仕事をする彼女のツールは二台のパソコン。仕事の合間を縫っては、日々ブログの更新に勤しみ、SNSには積極的に参加して、ネット上で多くの友人を得ている。彼女のブログには一日平均70通のコメントが寄せられると言うからすごい。そんなネット通の彼女がどうしてまた急にこんな発言をしたのだろう。
「実はね、ネットストーカーに遭っちゃって…」と、彼女はふっとため息をついた。
ネットストーカーとは、インターネットを利用してしつこく特定の人に付きまとうストーカーのこと。ネット上に誹謗中傷が書き込まれたり、知らないところで個人情報が暴露されたり、ひどい時には実生活で、ストーキングされたりするという。
「私の場合は、ブログによくコメントをくれる人だったわ」と話し始めた。最初はただ感想を書く程度だった人が、あるとき彼とまったく正反対の意見が寄せられた途端、その人に向かって罵りのコメントを入れ、ひと悶着となったらしい。「いつもは礼儀正しい書き方をしていた人なのに、豹変してね。その罵倒した表現は、考えるだけでも身の毛がよだつほど…」と振り返る。翌日、彼に、警告メールを送ったことがこのストーキングのきっかけを作ってしまった。「多分彼のプライドを傷つけたのね」。実名を知った彼はブログだけでなく、彼女の作品が掲載されているHPすべてに中傷メールを送りつけ、大騒ぎとなる。
「ネット被害は自分には起こらないと思っていたことがそもそも思い上がりだったわ」と彼女は締めくくった。
実際、女性の二割以上がネットストーカーに遭っているという。被害が拡大する中、警視庁が出している自衛策としては、実名はもちろん、自分の写真は絶対に載せない、そして人の心を逆なでするような表現を控えることだそう。
顔の見えないネット社会だからこそ起き得る犯罪がうごめいているということだけでも知っておく必要があると痛感した。
by magicalspeed
素人 ニッポン!